Quality Of Lifeという言葉を私は哲学の授業の中で始めて耳にしました。おそらく、そのような学生は多いことと思います。家族や友達、バイト先の先輩などにもQOLという言葉を聞いたことはあるか、または知っているか尋ねたところ、直訳は答えられるものの、それが具体的に何を意味しているのか答えられるものはいませんでした。これはこのQOLが一般的に使用されず、浸透していないことが言えると思います。
そもそも我々は普段の生活の中でLifeをそしてそのQualityを感じたり、気にかけたりする機会はほとんど無いように思われます。もっとも現代人は急速な社会変革の流れに飲まれて、その忙しさのあまりそれを考えることを忘れているだけなのかもしれません。それとも生きていること、生命があることが当たり前すぎて、そこに存在価値を見出すことをおろそかにしているのかもしれません。このように普段の生活においてLifeのQualityを考える必要性に駆られていないのです。しかしQOLの概念の発生した背景や、この考え方が多く取り入れられる分野を調べていくにあたり、今こそ我々にQOLという考え方が必要だということがわかりました。その結論に至った経緯を説明するにあたり、まずQOLの概念の発生から述べていきたいと思います。
1960年代、ヨーロッパでは社会経済の急速な発展を遂げ、それに伴い環境汚染は進行、都市の生活状況は悪化していきました。これは利便性や効率性を貪欲に追求した結果、必然的に現れた副作用といえます。この社会を背景に、物質的な豊かさ、数量的に捉えられる物質的な幸福ではなく、非物質的で数量的には捉えがたい精神的な豊かさを求める動きが始まり、そのスローガンとして掲げられたのが今回のレポートのテーマであるQuality Of Lifeでありました。このようにQOLは初めから存在していた考え方ではなく、社会変化の中で見失っていた人間の本質を探ろうとしたときに必然的に出現した概念といえます。
1980年代に入り、QOLの概念は医療やリハビリテーションの分野で急速に強調され、広まっていきました。例えば、医療現場での末期ガン患者の治療において、痛みや苦痛からの解放、限られた生命において人間の尊厳を尊重すること、介護する家族や患者が死亡し残された家族の精神的ダメージを癒し緩和することなどがQOLの概念に基づいた考え方です。
患者の精神的なQOLを高める方法として以下のものがあげられています。
・病状を軽くすること
・患者のポジティブで健全な要因―知的能力・特殊な才能、残っている社会的スキルなどをよりよく用いることができるように患者を援助すること。
・患者に新しい、またはよりよい活動の源泉―新たな関心、趣味、教育、社会的スキルなどを与えること。
・患者に就労の可能性、住居やデイ・センター施設について話すなど、患者が環境をよりよく用いることができるように援助すること。
・ 患者の援助の仕方や付き合い方を家族や友達に教え、患者クラブやワークショップを創設するなどして、新しい環境条件を用意すること。
これらの要因を順次実現していくことにより、患者のQOLは確実に向上していくのだそうです。(アゲナエス・1994の指摘による)
日本では近年社会の高齢化が急速に進み、2050年には4人に1人が高齢者になると予測されているほどです。そして今年も日本人女性の平均寿命は世界一でその記録はまた更新されました。医療技術は革新的に進歩し、衛生状況は飛躍的に向上した結果です。長寿が増えるということは健康な老人だけでなく、寝たきり・痴呆・ボケ・病気といった周囲からの介護を必要とされる老人が増えることを意味します。この社会状況の下で、Lifeを見直す重要性は高まっているのです。
われわれはもし家族が余命を宣告されてしまったら、まずはその命が少しでも長くあってもらえることを願うでしょう。どれだけ希望が薄く、辛い病気だとしても死を引き伸ばそうと考えるに違いありません。一方で家族の苦痛を見ているのに耐えられず、早く楽にしてあげたいと安楽死を考えるかもしれません。このとき問題になってくるのが、Quality Of LifeとQuantity Of Life、つまり生命の質と生命の量だと思います。どちらを優先しようと考えるかは自身の問題です。患者のQOLを高めるには個人の価値判断を基準にすべきだと思います。社会の観念や家族の考えによることなく、個人の意思をもってそれぞれのQOLを高めることが重要だと思います。
さて現在の私たちはどうすれば生命の質を高めることができるのでしょうか。生命を損なうということは命を犯す、つまり自殺を図ったり生命を軽く考えることと理解します。しかし、生命の質を高めるとはどういうことなのでしょう。漠然としていてはっきりとしません。「充実した生活を自分らしく送ること」これは生活の質を向上させることになると思います。生命の質を高める意味を考えることは、人間の存在意義を考えることにもつながり非常に重たく、難しい問題だと思います。しかし私ができる方法としてあげられるのは「日常でQOLとはどういうことなのか考え、それを高めることを意識しながら生活を送ること」それこそが私にとってQOL−生命の質―を高める生き方だと思います。
そもそも我々は普段の生活の中でLifeをそしてそのQualityを感じたり、気にかけたりする機会はほとんど無いように思われます。もっとも現代人は急速な社会変革の流れに飲まれて、その忙しさのあまりそれを考えることを忘れているだけなのかもしれません。それとも生きていること、生命があることが当たり前すぎて、そこに存在価値を見出すことをおろそかにしているのかもしれません。このように普段の生活においてLifeのQualityを考える必要性に駆られていないのです。しかしQOLの概念の発生した背景や、この考え方が多く取り入れられる分野を調べていくにあたり、今こそ我々にQOLという考え方が必要だということがわかりました。その結論に至った経緯を説明するにあたり、まずQOLの概念の発生から述べていきたいと思います。
1960年代、ヨーロッパでは社会経済の急速な発展を遂げ、それに伴い環境汚染は進行、都市の生活状況は悪化していきました。これは利便性や効率性を貪欲に追求した結果、必然的に現れた副作用といえます。この社会を背景に、物質的な豊かさ、数量的に捉えられる物質的な幸福ではなく、非物質的で数量的には捉えがたい精神的な豊かさを求める動きが始まり、そのスローガンとして掲げられたのが今回のレポートのテーマであるQuality Of Lifeでありました。このようにQOLは初めから存在していた考え方ではなく、社会変化の中で見失っていた人間の本質を探ろうとしたときに必然的に出現した概念といえます。
1980年代に入り、QOLの概念は医療やリハビリテーションの分野で急速に強調され、広まっていきました。例えば、医療現場での末期ガン患者の治療において、痛みや苦痛からの解放、限られた生命において人間の尊厳を尊重すること、介護する家族や患者が死亡し残された家族の精神的ダメージを癒し緩和することなどがQOLの概念に基づいた考え方です。
患者の精神的なQOLを高める方法として以下のものがあげられています。
・病状を軽くすること
・患者のポジティブで健全な要因―知的能力・特殊な才能、残っている社会的スキルなどをよりよく用いることができるように患者を援助すること。
・患者に新しい、またはよりよい活動の源泉―新たな関心、趣味、教育、社会的スキルなどを与えること。
・患者に就労の可能性、住居やデイ・センター施設について話すなど、患者が環境をよりよく用いることができるように援助すること。
・ 患者の援助の仕方や付き合い方を家族や友達に教え、患者クラブやワークショップを創設するなどして、新しい環境条件を用意すること。
これらの要因を順次実現していくことにより、患者のQOLは確実に向上していくのだそうです。(アゲナエス・1994の指摘による)
日本では近年社会の高齢化が急速に進み、2050年には4人に1人が高齢者になると予測されているほどです。そして今年も日本人女性の平均寿命は世界一でその記録はまた更新されました。医療技術は革新的に進歩し、衛生状況は飛躍的に向上した結果です。長寿が増えるということは健康な老人だけでなく、寝たきり・痴呆・ボケ・病気といった周囲からの介護を必要とされる老人が増えることを意味します。この社会状況の下で、Lifeを見直す重要性は高まっているのです。
われわれはもし家族が余命を宣告されてしまったら、まずはその命が少しでも長くあってもらえることを願うでしょう。どれだけ希望が薄く、辛い病気だとしても死を引き伸ばそうと考えるに違いありません。一方で家族の苦痛を見ているのに耐えられず、早く楽にしてあげたいと安楽死を考えるかもしれません。このとき問題になってくるのが、Quality Of LifeとQuantity Of Life、つまり生命の質と生命の量だと思います。どちらを優先しようと考えるかは自身の問題です。患者のQOLを高めるには個人の価値判断を基準にすべきだと思います。社会の観念や家族の考えによることなく、個人の意思をもってそれぞれのQOLを高めることが重要だと思います。
さて現在の私たちはどうすれば生命の質を高めることができるのでしょうか。生命を損なうということは命を犯す、つまり自殺を図ったり生命を軽く考えることと理解します。しかし、生命の質を高めるとはどういうことなのでしょう。漠然としていてはっきりとしません。「充実した生活を自分らしく送ること」これは生活の質を向上させることになると思います。生命の質を高める意味を考えることは、人間の存在意義を考えることにもつながり非常に重たく、難しい問題だと思います。しかし私ができる方法としてあげられるのは「日常でQOLとはどういうことなのか考え、それを高めることを意識しながら生活を送ること」それこそが私にとってQOL−生命の質―を高める生き方だと思います。
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